こんにちは!カウンセラーのRikoです。
先日YouTubeでYOASOBIさんのIdol (English ver.)を聞いたんですよ。
衝撃でした。ikuraさんの発音は綺麗で明瞭で…しっかりと英語で歌っているのに「なんで日本語の歌詞が聴こえてくるんだ」と。
というわけで今回はYOASOBIさんの「Idol (English ver.)」がなぜ日本語に聞こえるのかを、音韻論的な観点から解説していきますね!
この曲の最大のポイントは、日本語バージョンの歌詞と韻を踏んでいるというところです。
特に節の出だしや終わりは日本語の歌詞と音がマッチするように書かれています。
特定の子音を際立たせて発音したり、リエゾンをうまく使うことで「あれ?日本語に聞こえる…」という現象が起こっているんです。
※リエゾン - 2つの音が繋がって発音されること。例:make it = メイキット(/k/と/i/が繋がって/ki/という音になる。)
例えば、サビの出だし「That emotion」は日本語の「誰も」に聞こえますよね。
出だしのThatは少し崩して /da/ と発音しています。
これは口の中で「th」と「d」の音が生成される場所が近いからです。
さらに「That」の最後の /t/ を /r/ に近い音まで崩して「emotion」の /e/ とリエゾンさせることで /re/ に近い音を作り出しています。
「え?/t/が/r/になるの?」と思った方はbetterという単語を思い浮かべてください。
ネイティブスピーカーが発音すると、「ベラー」って聞こえるじゃないですか。あの感じです。
加えて、emotionを「イモーション」ではなくあえて「エモーション」と日本訛りで発音することで、より日本語の歌詞に近い音が再現されています。
この曲では音節の使い方も大事なポイントになっているようです。
特に日本語の歌詞と韻を踏むように書かれている部分では、特定の音節にかなり強めのアクセントをつけて歌っていますね。
※音節 - 母音で区切った音の単位
そもそも日本語の歌と英語の歌では、リズムの取り方が異なっています。
音楽の場合、1音節(1つの母音)に1音がというのが原則です。
例えば、日本語で「スプリング」は5音(節)ですが英語で「spring」の場合は1音(節)というカウントになります。
では実際にIdolの出だしのラップパートの最後「unmatched」を見てみましょう。
発音記号で表すと /ʌnmætʃt/ 、2種類の「ア」の音(/ʌ/ と /æ/)が1つずつあるため2音節です。
この /ʌ/ と /æ/ が日本語の「様 (sama)」の母音と合うように書かれているんですね。…なんて巧妙なんでしょう。
さらに、/æ/ の音は特に[a]にアクセントがついた時に現れる音です。(例:ask=/æsk/など)
日本語バージョンで「サマッ」という感じで歌っているのを、unMAtchedと強めのアクセントで表現しています。
以上、ほんの一部でしたがYOASOBIさんのIdol (English ver.)を音韻論的に解説してみました。
日本語に聞こえる理由をまとめると以下の通りです。
・「子音」の崩れた音と「リエゾン」をうまく使って日本語の音を再現
・「母音の音」と「音節の数」を両方同時に合致させる
英語と日本語の音をマッチさせている部分が非常に多い楽曲なので、
ここで挙げた箇所以外にも上記のような仕掛けがたくさん散りばめられています。
ぜひご自身の耳で確かめてみてくださいね!
英語の音を詳しく知ることは、発音を学ぶうえでとても大事です。
NOAH Online English Lessonではしっかりと解説をしながら発音を指導できる講師が多数在籍しています。
ぜひノアオンラインのレッスンでikuraサンのような綺麗な発音を身につけましょう!
それではまた次回の記事でお会いしましょう!Have a good day!